プロ野球を見ていると、「QS(クオリティスタート)」や「HQS(ハイクオリティスタート)」という言葉を度々耳にします。
1985年に提唱されたもので、その後メジャーリーグで一般的になり、日本では2008年頃から使われるようになった言葉です。
投手の成績評価の一つなのですが、どういった意味があるのでしょうか。
この記事では、プロ野球でよく聞くQS、HQSについて解説します。
近年のプロ野球におけるQS率ランキングも紹介しますよ!
クオリティスタート(QS)とは?
QS(クオリティスタート)は、「良好な先発」という意味で、投手の成績評価に使われている指標の一つ。
内容は、「先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点を3以内に抑える」というものです。
ちなみにこのQSを先発登板数で割ったものがQS率と呼ばれています。
従来は先発投手の評価は、「勝利数」や「完投数」などが重視されていました。
しかし、勝利数は味方打線や相手の投手に影響されるものなので、純粋な評価に繋がらないという欠点があります。
例えば、9回を1失点で完投しても、味方が0点であれば勝ちは付きません。
逆に6回5失点で降板しても、味方がそれ以上に点を取って最終的に勝てば先発投手に勝ちが付きますよね。
こういったことから、先発投手の能力を計る指標としてQSが使われるようになってきました。
ハイクオリティスタート(HQS)とは?
HQS(ハイクオリティスタート)の内容は、「先発投手が7イニング以上を投げ、かつ自責点2以内で抑える」というものです。
QSでもそうですが、この「自責点」というのも一つのポイント。
味方のエラーで出塁したり生還したランナーによる点は投手の自責点には含まれません。
例えば、結果的に5失点したとしても、自責点が2以下で7回まで投げ切ればHQSが記録されるということです。
最も活躍した先発投手に贈られる「沢村賞」でも、2018年シーズンからは「先発登板のうち、投球回数7回で自責点3以内」という独自の基準を採用しているようですよ。
2021年クオリティスタート率ランキング
- 1位:マルティネス 95.2%
- 2位:山本由伸 88.5%
- 3位:上沢直之 87.5%
- 4位:大瀬良大地 87.0%
- 5位:千賀滉大 84.6%
- 6位:森下暢仁 79.2%
- 7位:柳裕也 76.9%
- 8位:伊藤大海 73.9%
- 8位:田中将大 73.9%
- 10位:今永昇太 73.7%
2020年クオリティスタート率ランキング
- 1位:西勇輝 81.0%
- 2位:大野雄大 80.0%
- 2位:菅野智之 80.0%
- 3位:森下暢仁 77.8%
- 3位:山本由伸 77.8%
- 3位:千賀滉大 77.8%
- 7位:石川歩 66.7%
- 8位:有原航平 65.0%
- 9位:青柳晃洋 61.9%
- 10位:田嶋大樹 60.0%
- 10位:高橋光成 60.0%
- 10位:九里亜蓮 60.0%
2019年クオリティスタート率ランキング
- 1位:山本由伸 80.0%
- 2位:千賀滉大 76.9%
- 3位:有原航平 75.0%
- 4位:西勇輝 73.1%
- 5位:大野雄大 72.0%
- 6位:柳裕也 69.2%
- 6位:山口俊 69.2%
- 8位:今永昇太 68.0%
- 9位:大瀬良大地 64.0%
- 10位:ジョンソン 59.3%
2013年クオリティスタート率100%の投手が出た!
2013年シーズンは、田中将大投手がシーズン無敗で24勝を挙げ、東北楽天イーグルスが日本一になったことでも有名です。
実はこの年の田中将大投手は、QS率も100%でした。
全ての登板試合でQSを記録して全勝した、まさに伝説のシーズンと言えるでしょう。
日本シリーズでの初めての負けと、第7戦最終回の気迫のピッチングはプロ野球ファンの心に深く刻まれていますよね。
防御率も1.27と圧巻の記録で、最多勝と最優秀防御率も獲得しています。
シーズンで打たれたホームランが6というのも、規定投球回到達者で最小だったようですよ。
まとめ:クオリティスタート・ハイクオリティスタート(QS・HQS)は重要指標になりつつある
QS(クオリティスタート)とHQS(ハイクオリティスタート)について解説し、近年のQS率ランキングを紹介しました。
球数制限などでリリーフの役割が重要になってきている近年のプロ野球。
先発するピッチャーも、完投することは少なくなってきています。
そんな中で重要指標になってきているのがこのQSやHQSです。
こういった成績にも注目しながら見ると、よりプロ野球が楽しめるのではないでしょうか。