2017年7月横浜DeNAのラミレス監督は勝負に出た。
これまで4番を務めてきた筒香嘉智を4番から外し、ホセ・ロペスを4番に起用したのだ。
チームも5割に浮上気味の時に、あえて打順を変えてきました。
そこにはロッテで、プレーオフからの優勝を成し遂げたバレンタイン監督との共通点がありました。
・打線好調の時こそ打順変更
打線好調の時には打順を変えず、不調になったら打線を変える。
これが日本野球で多く行われている打順変更。
しかし、ラミレス監督は好調の時にこそ打順を変える。
それはなぜか?
それは打線が不調の時に筒香を3番にした時、どのような影響がもたらされるかで説明がつく。
仮にDeNAが3連敗、4連敗となり、そこで筒香を3番に代えたら・・・
選手が動揺し、首脳陣が焦っていると受け止められる可能性もある。
しかし、ある程度打線が好調で、チーム状態もいい時に打線を変えれば、動揺はない。
「意図があって、代えるんだな」程度にしか思わないのだ。
先頭打者ホームランがいい例だろう。
連敗中は先頭打者ホームランを打たれただけで、「また負ける」
連勝中は先頭打者ホームランを打たれても、「まぁ、取り返せばいい」
連勝、連敗で大きく考え方が変わってくるのだ。
・筒香4番のままにしないのは
打順を変えなかったら、どうなるか?
4番筒香のままでもいいではないか?
確かにそうだ。
そのまま1シーズン通して、4番筒香でも問題ないように思える。
ラミレス監督が言っていたのは、「3番筒香にすることによって、後ろに強力なバッターが控えるため、筒香で勝負してもらえる」ということだ。
それは確かにそうだ。
しかし、もう一つ意味がある。
それはまたチーム状態が悪くなった時に、再び4番に筒香を戻せるという選択肢があることだ。
4番に筒香が戻れば、ファンのボルテージがまた上がることにある。
悪い流れを変える策となるのだ。
・バレンタイン監督の選手起用
バレンタイン監督は勝ち試合ほど多くの選手を起用した。
その理由は「勝ち試合を多くの選手で共有することに意味があるから」だそうだ。
勝ち試合に多くの選手が関わり、勝利の瞬間、皆で喜びをわかちあう。
それが理由なのだ。
当然、勝ち試合の選手交代にはリスクを伴う。
しかし、みんなの力で勝つのはチームスポーツそのもの。
全員の力を使って勝つのと、全員の力を使って負けるのでは天と地の差。
負け試合に多くの選手を使うのは、全員の力を使って負けることに他ならないのだ。
・好調の時に動かずダメになった球団がある。
他ならぬ巨人だ。
残念ながら、そういわざるを得ない。
4月~5月は巨人は好調だったと言っていい。
その時に、村田をベンチに幽閉したのはあまりにも愚策だった。
マギーのベンチスタートもやっておくべきだったのだ。
好調な時こそ、様々なシチュエーションを試し、備えておくべきだった。
勝っているからそのままではなく、勝っているからこそ動くのだ。
好調の阿部やマギーに代わって、村田を使って負けたとしても、貯金はある。
ダメージは少ないのだ。
しかし、実際は連敗を喫してから動き出し、7連敗を喫した時にクルーズを昇格させた。
負ければダメージが大きくなってしまう段階で動き、結果本当に大きく裏目に出てしまった。
これほど「裏目」という言葉がぴったりはまることはないというぐらいに裏目だった。
もうマギーに代わって、村田という選択肢はないだろう。
今や阿部か村田かという選択になってしまった。
マギーが不振に陥った時、おそらくマギー代えずに辛抱するしか今は方法がないだろう。
開幕当初なら、もっといろいろな起用があったはずだが、自らの手で起用法を狭めているんだから、どうしようもない。
・アメリカの風
アメリカ野球を全肯定するつもりは全くない。
しかし、今や選手を多く使わないと勝てない時代になってきた。
先発完投が減ってきたのは今の投手のスタミナが不足したからではない。
野手のレベルが上がり、序盤よりも球速が落ちたピッチャーの球なら、150キロでも打てるようになったからだ。
1人のピッチャーで抑えきれないほど、野手のレベルが上がったというのが定説だ。
ということは多くの投手を必要とする。
野手も同様、相手投手の特性に合わせて、いろいろな野手を使いこなさないといけない。
試さないといけない。
好調な時こそ、何かを変える。
新しいアメリカの風が日本野球に根付く日は近いのかもしれない。